「マイクロビット(micro:bit)」は、イギリスのBBCが作った教育向けマイコンボード。日本国内200以上の小学校、海外ではアメリカ、カナダ、シンガポールなど40か国以上でSTEM教育教材として使用されているそうです。
教育向けマイコンボードの中では広く知れ渡っており、タミヤから発売されている「マイコンロボット工作セット」のロボットにも搭載されていたりします。

そこで、マイクロビットで「どんな機能が使えるの?」「どんな工作が作れるの?」
そんな疑問をもつ方も多いのではないでしょうか。
そこで、マイクロビットはどんな機能があるのか?どうやってプログラミングできるのか?をご紹介していきます。後半には小学生による簡単な作品の例や面白いアイデアも紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください!
マイクロビットの基本スペック
「マイクロビット(micro:bit)」は、イギリスのBBCが作った教育向けマイコンボード。日本でも代理店を介して購入でき、SB C&Sの「はじめてセット」が3,000円前後で購入できますよ。対象年齢は8歳~。
マイクロビット(ボード本体のみ)micro:bit V2.2
お手頃な値段からチャレンジできるのは嬉しいポイントですね!
マイコンだけでも工作を楽しめますが、冒頭に紹介したタミヤの「マイコンロボット工作セット」や一部の「プログラミング・フォロ」など、さまざまなロボットトイや拡張キットが販売されているので、選んでみても面白そうです!
今回は、マイクロビット単体でどんな使い方や遊び方ができるのか、詳しく紹介していきます!
早速見ていきましょう。
マイクロビットの機能


マイクロビットは小型のコンピュータで、パソコンと接続してプログラムを書き込むことが可能です。
見た目は電子基板のようですが、ボード上には沢山のデバイスやセンサーが付いています。
- 赤色LED ×25(光センサーとしても使用可能)
- ボタンスイッチ ×2
- 温度センサー
- 加速度センサー
- 地磁気センサー
- タッチセンサー(※v2.0以降のみ)
- スピーカー(※v2.0以降のみ)
- マイク(※v2.0以降のみ)
- 無線通信(Bluetooth)
- デバイス追加用端子 ×5
多くの機能がついているので、おもちゃやゲームの工作だけでなく生活にも役立つ道具が作れてしまいそうですよね!中には実際に「冷蔵庫の開けっ放しをお知らせする装置」や「モーニングルーティンを管理できるタイマー」を作っている人もいます。
これらの機能を使ってプログラミングをするには、パソコンを使います。マイクロビットとパソコンをUSBケーブルで接続することで、パソコン上で作ったプログラムをマイコンボードに保存する仕組みになっています。また、後述するアプリ「MakeCodeエディタ」にはiOS版やAndroid版があるので、スマホやタブレットでプログラムを作り、Bluetoothの無線接続でマイクロビットに送信することもできます。
それでは、どんな種類のプログラミングができるのかを確認していきましょう。
マイクロビットの使い方
Microsoft MakeCodeエディタでプログラミング

Microsoftが開発したMakeCodeエディタを使うと、画像のようにコマンドを表すブロックを並べるだけで、プログラミングを作れるようになっています。
使用感はScratchに似ていて、プログラミング初心者にも視覚的に分かりやすいです。画面上に表示されたマイクロビットで動きをシミュレーションできるのも便利で、学びやすさが考えられていますね。
このアプリは全てWebブラウザ上で動作するので、アプリのインストールや環境構築が必要ありません。そして、一時的にオフラインになっても編集を続けられるようになっているので、ネットワークが不安定な環境にも対応できます。大人数で授業をしたり、自宅のWi-Fiを使う場合でも安心ですね。
また、iOS・Android用のアプリも用意されていて、スマホやタブレットでも同じプログラミングができます。
個人的に感動したのがJavaScriptやPythonのコードとシームレスに切り替えながらプログラミングができること。ブロックでプログラミングをしながら、同じ動作を本格的なプログラミング言語ではどのように書くのかをその場で確認できるんです。


文字がいっぱいのソースコードを初めて見たときには、誰しも一見「難しそう!」と抵抗感を感じるものです。しかし、自分がブロックだけで作ったプログラムをソースコードに変換してみると、中身は同じであることに簡単に気がつくでしょう。プログラミング思考から実務的なプログラミングへと、スムーズに段階を踏んで学習できるようになっているのです。
Pythonエディタでプログラミング

PythonエディタはMakeCodeエディタと同じようにWebブラウザ上で使えるアプリで、Pythonというプログラミング言語を使ってマイクロビットをプログラミングできるようになっています。
MakdeCoddeエディタにもPythonに変換して編集する機能はありましたが、Python独自の関数や機能を使った場合、ブロックに変換できず制限されていました。それに対し、Pythonエディタでは「配列を扱う」「新しい関数を作る」など、テキスト言語ならではの発展的な機能を簡単に使えるようになっています。
Pythonエディタにもシミュレータが付いているので、画面上でマイクロビットの動作を確認しながらプログラムを作ることができますよ。
Scratchでプログラミング

Scratchはコマンドが書かれたブロックを並べるだけで簡単にゲームやプログラムを作れる、世界的に有名なプログラミング言語です。子どもの時に初めてプログラミングに触れたという方なら、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
Scratch Linkをパソコンに、Scratch micro:bit HEXをマイクロビットにインストールすることで、Scratchエディタの拡張機能としてマイクロビットが使えるようになります。
Scratchではプログラムがプロジェクトとして保存されていて、キャラクターや構成要素を画面上で動かしてシミュレーションできるようになっているのですが、ここにマイクロビットを組み込む場合、入力・出力デバイスとして使えます。
つまり、Scratchで作ったゲームのコントローラーにしたり、ボードにスコアを表示したり、演奏ゲームの音を鳴らしたりといった色々な使い方ができます。
既にScratchで作ったゲームがあるという人は、自作ゲームにマイクロビットを追加して遊んでみるのも面白そうですね!
Swift Playgroundsでプログラミング

Swift Playgroundsは、Appleが開発している「iOSアプリを作成するためのプログラミング言語であるSwiftを学ぶためのアプリ」です。さまざまなゲームやおもちゃを使ってSwiftを使ったコーディングが学べるように学習プログラムが用意されており、macのパソコンやiPadがあれば使うことができます。
SwiftはiOSアプリの開発ではメジャーなプログラミング言語です。Swiftでプログラミングができるようになれば、より高度なゲームやアプリの開発にステップアップしていくこともできるかもしれません。
マイクロビットの作品例
マイクロビットを使った作品の例には、どんなものがあるでしょうか?
マイクロビット公式のプロジェクト集には、100近くの遊び方が難易度別に紹介されているので、こちらを確認してみるとよいでしょう。例えば、じゃんけんゲームは楽しそうです!公式に紹介されているじゃんけんの作り方を参考にすれば、子どもでも簡単に作れそうですよ。
また、日本国内では毎年、㈱スイッチエデュケーション主催の「たのしいmicrobitコンテスト」が行われており、Twitterで#たのしいmicrobitコンテスト2022と検索してみると、いろいろな応募作品を見られます。ちなみに、2022年のグランプリ受賞作品はこちらの「どこでもスイカ割り」。
たのしいスイカ割りを「どこでも何回でもできるようにしちゃおう!」という子どもならではのアイデアが面白いですね!
このコンテストは2022年で5回目になるので、今までの受賞作品や応募作品を見てみると、簡単なものから高度なものまで、いろいろなアイデアが発見できて興味深いです・・・!
他にも、YouTubeで調べてみるとオリジナル作品を公開している人がチラホラ。こちらは、乱数と条件分岐を使ってマイクロビットでおみくじを作っている方の作品例。仕組みは簡単で、入門者でもすぐに作れそうです♪
【まとめ】初心者にやさしい簡単操作のマイコンボード
教育向けマイコンボード「マイクロビット」を紹介しました!いかがでしたか?
印象としては「Arduino(アルディーノ)」「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」といった他の有名なマイコンに比べると、初心者向けの親切な設計・サービスになっていると感じました!
日本でも導入や事例がどんどん増えているので、「初心者でも比較的すぐに楽しめる」マイコンボードといえるのではないでしょうか!もちろん、拡張パーツやテキストプログラミングにステップアップすれば複雑な設計も学ぶことができます。
くわしい仕様が気になった方は、公式HPから最新の情報をチェックしてみてくださいね!